きれいなまち/もり
駅前公園の噴水わきに
男がひとり、
あぐらを組んでいる。
近づけば つん、と臭う。
靴には穴がポカッとあいて、
のぞく親指は化石のよう。
伸びきった髪の毛だけが、
意志を持つように絡みつく。
みなが男を避けて通り、
だれも噴水に近づかず、
やがて
待ち合わせ場所を失った人々の
苦情により男は引っこ抜かれ、
残されたのは
ちいさな、ちいさな
たんぽぽだ。
そうしてすぐにまた
駅前公園の噴水わきは、
無数の靴跡で埋めつくされ、
清掃のおばさんは
忙しさをとりもどし、
鳥もいなくなった。
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