「白紙にむかって歌うんだ」他6作/クローバー
「白紙にむかって歌うんだ」
返事のこない手紙を書くつもりでいい
短冊を前にして何を願えば、誰も傷つけないで済むのだろう
白いホール、病院の入り口に飾られた笹
僕が何も書けないでいると
宝くじが当たりますように
と、さらっと書いて
じゃ行くよ、と君が目くばせをする
そこは大金を手に入れたいでいいんじゃないかと思うんだけれど
嫌だよ、自力で手に入れたいの
神頼みなのに、宝くじなのに、それを自力と言う
買ったのは私、私の金
世界平和なんかより、よっぽど叶ってほしい
君は正しい、そんな気がした。
「ポスト/ドラマがはじまる前に」
たぶん世界で一番美しいのだ
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