大きな世界/葉leaf
ったが、全ての責任は私に押し付けられ、いくら上司に訴えても責任逃れしかしない。あまつさえ様々な嫌がらせがはじまり、私は窮地に追い込まれてしまった。
この世界の法則として、純粋な夢や理想は壊れる定めにある。社会への夢が壊れたとき、私はこの法則の存在をはっきり認識した。だが、「この世界」とは何だろうか。せいぜい己を中心とした狭隘な世界に過ぎないのではないか。「この世界」より大きな世界はきっとある。その大きな世界においては、純粋な夢や理想は叶うかもしれない。私はまだその大きな世界にまで至れていない、あるいは小さな「この世界」から脱出できていないにすぎないのだ。
私はつまらない法則の支配するこの世界から脱出する方途を探している。純粋さが純粋さのまま通用する大きな世界の入り口を探している。それは案外、自分で作り上げる簡素な扉なのかもしれない。大きな世界の入り口は至る所にあり、ただ私の手先の器用さで開けられる単純な扉なのかもしれない。
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