トラベラー/マゼンタ
 
ようだ
逆光によって何もみえない そのあと黙って
亡霊のように、 どこまでも歩いた
言語はすでにほどけ 同じ風と緑にもっていかれた
それともここでも交わされるのだろうか 
ずっとなびいているのか  抱きしめるように
白っぽい砂をおもいっきり蹴散らした
かたすかしの身震い、身震いが全身につたわる ぼくのからだは
半透明だから たぶんすべてを受けいれるだろう
それをたしかめたい
トイレの鏡に無数のひびが入っている
ここは、船橋のカラオケボックス
ドアを閉めると静まりかえる空間
だれかいるらしい
鏡には無数の傷  だらしなく転がり落ちたトイレットペーパー
水ぶくれをつぶしてしまったら 体液が溢れでた
これがぼくの肉体のあかし
地下一階
閉ざされた空間で呻くからだの はけ口であるように
廃屋の窓のように
世界はひらいている}














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