ロスとロス (流し込むあいだの)/ホロウ・シカエルボク
ティを追及している人間が居るが、そんなものにはなんの意味もない、どうでもいいものにある種の縛りを作ることは、ただ生き難くなるだけに過ぎない、ただ項目が増えていくだけのことを俺は美学だなんて呼んだりしない―そして相変わらず窓の外の表通りに耳を傾けている、平日の夜で、しかも長いこと雨が降り続いていたとあっては、近くの繁華街から帰ってくる無邪気なヨッパライの声もほとんど聞こえてこない、車のお供心なしかまばらな気がする、まだそんなにみんな黙り込む時間じゃないのに、不思議なほどに街路はとりすましている、もちろん俺にはそれは望むべき環境だ、この街の人間は下らないことで騒ぎ過ぎる…睡魔はときおり受信するラジオみ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)