『遡上の果て』  卵から始まるはな詩?/ただのみきや
 
ているのかもしれない
《酷いことだろうか
《でも私が望んだこと
《後悔しているか……
ここでいつも 石になる


あれは社長の知り合いの馬鹿息子だと
休憩時間に古株の一人が教えてくれた
見習いだと言うが
すぐに上司になるのだろう

「腹を裂かれて子を奪われる訳でしょう
きっと死んでも死にきれないよな」

噂通りのクソ馬鹿息子だった
男はだらだらと手を動かし
閉まり切らない蛇口のように
途切れることなく喋り続けた

「うわー 卵が睨んでるよー 」

毛穴が太りざわつきだす
身に沁みて解っていたことだ
男はどこまでも女を苦しめる
そんな生き物だ
意図
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