火トカゲの鎮魂歌/ベンジャミン
 
そうやって夜は沈み
盲目のあなたは歩くこともできず
杖を探して這い回るのです

まぶたを透かす希望に
わずかなぬくもりを感じると
胸の奥に溜め込んで満ちるのを待つ
狂いそうな手足は鉄の鎖で結びます

(安心しなさいあなたは一人です)

善悪の天秤が激しく揺れても
それはくるくると回るだけ
これ以上失うものはないのですから

粉々に砕けても
灰は何も語らないでしょう
常に終点から入り口を見つめるなら
最後に怯えることもありません

(こんなにもあなたは一人です)

そこには哀れみも悲しみもなく
魂が川底の石のようにまるまりながら
あちこち踊り小さくなってゆくだけ

やがて砂粒ほどの
重さも感じないくらいになって
はじめて居場所を得られます

それまで

涙は流さないでいましょうね



戻る   Point(6)