いないいない/もり
僕らが
何か捨てるとき
それは、つまり
隠したに過ぎないことが多い
捨てられたゴミ
魚の骨や 紙屑や
溶けた誕生日のローソクは
今もどこかに
必ず、ある
土のなかや 空気のなか
下手するとそれはむき出しで
目隠した僕らのわきを
通り過ぎる
捨てられた男
捨てられた女
捨てられた子ども
捨てられた老人
捨てられた故郷
捨てられた不発弾
捨てられた瓦礫
捨てられた詩集
みんな みんな
捨てた誰かが 見えない場所で
面影残して 息を継ぐ
ほんとうに捨てられるもの
ほんとうに消え去るものは
一刻々々の
ほどける時のビーズだけ
手も振れぬ
色とりどりの光線を
君は見ただろうか
僕らが
何か捨てるとき
それは、つまり
隠したに過ぎないことが多い
「ばぁ」
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