和解/吉岡ペペロ
気ないいつもの昼休みだった。昨日ともなんの代わり映えもしない昼休みだった。
枇杷のせいだろうか。いやそれは逆だ。季節のせいだろうか。貧血気味のせいだろうか。
貧血が去っているような気がした。
鼻から息を吸った。さっきの貧血をからだのなかに探しながら息を吐いた。ずいぶん長い息だった。こんなのは前からだと思った。いつもとおんなじ不安や心配だと思った。それにとらわれているのは良くないと思った。コンビニの袋がちりちりと言っていた。
職場の席につくまえぼくはトイレに寄った。トイレットペーパーをかなり多めに巻き取って、いまから食べる枇杷に備えた。
弁当よりさきにまず枇杷を食べよう。昼飯をフルーツから食べるなんてちょっと素敵だ。なんといっても枇杷は弁当より高かった。
カップをあけたとき音がした。空気がポンと弾けて、ぼくはなにものかとようやく和解したような気がした。
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