跳躍/そらの珊瑚
 
冷たい窓ガラスに
一匹のヤモリがいた
わたしとヤモリは
互いの存在を
ほんの一瞬で認め合う
空気がほんの少しだけ
動いた気がした
目が合ったのだよ
確かに
あの時

人間と虫
それを隔てているのは
一体何なのだろう
或いは
なにものも
隔ててはいないのかもしれない

彼は
全身の筋肉をぎゅっと縮めたのち
重力に挑み
伸びて
、跳んだ
赤い腹を見せながら
人間を
軽々と越えていく

ばっさりと胸がすくくらい
それは見事な生き様

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