新しさ/葉leaf
こんな潔癖に晴れた朝でも
新しいものなど何もないのだ
木にしても空にしても光にしても
すべては太古からの使い回し
真に新しいものなど何もなく
きわめて古いものが形を変え
手を変え品を変え新しさを詐称し続ける
すべては歴史に賄賂を贈るため
歴史という権力の自己捏造に媚びるため
だがもちろん歴史にも新しさは何もない
それに比してこの私の漠然とした存在や意識は
使い回しや引用どころではなく
刻々と変わっていく現在の隙間を満たし
常に新しく彫刻されていく
たとえ世界は使い回しでも私の意識は新しく
その接点で生じる様々な認識や感情は新しい
主観的なものは新しく
客観的なものは古い
主観と客観との対立は
共有可能かどうかではなく
根本的に新しいか古いかという
ねじれと断絶にあるのではないか
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