時計/葉leaf
 



時計の針が壊れた残骸のある
人気のない広場で口笛を吹いている
早朝の光に満ちているが
もはや早朝といった時間を超えている
みな、何かを確かめようと躍起になっている
私は既に確かめた
新しい時計の針の材質を

こんな世界の根源に
一本の淋しい線路が引いてある
間もなく音もなく電車はやって来て
私は長方形が集まったシンプルな電車に乗った
世界の時間を動かしている時計は壊れたまま
もはや風景の移動を時計は制御できず
風景はランダムに切り替わる
私は座席に座っていたはずがいつの間にか立っている
時間の止まった線路の上で
狂った風を浴びている

ランダムに襲ってくる
建物、人間、植物、山林、機械
私にはその構造ばかりが明晰に見える
時間を超えて永続する構造の中枢を
私の脳はじかに視認し分析する
時間が壊れたこの場所で
運動が狂ってしまったこの場所で
ただ構造ばかりがにぎやかに栄え続けるのだ

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