傘の存在しない国の/朝焼彩茜色
傘の存在しない国の雨の髪
かつて 私は素を求め手を 合わせ
智慧と祈りの谷間で不完全さの完璧を認めてもらう為
老婆の姿に斥力に撥ねる 若気と蒼穹を追いかける青の一筋を
巧みに連ね 貫いた
木々の肩を叩く雨音 の耳も木霊 共感をそそいでいる
生まれたての歴史全てを歩む
老婆の魂を受け継いだ同じ項に俤を 見抜かれる
傘の存在しない国の雨の髪
かつて の名残りから生まれた 瞬間を吹き絵の血で描く
この 魂の歴史
雨に濡れた髪を頼りに 己の礎を拳で描いてゆく
朱色にしか頂けない 溜まったアクを
老婆の頃から祈っていた
祈りしか頂くものはなかった
雨に濡れた髪が今も尚
傘の存在しない国の頃と 変わらない
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