かなしみ/葉leaf
人間としての純粋さは
美しすぎる少年のように夭折した
私はそれを補うものとして
社会という書物を解読する意欲に満ちて
純粋なサラリーマンになった
だが純粋なサラリーマンはあっけなく死んだ
間引かれたかのようにあっけなく
純粋な自殺とは何であるか
何の動機もなく
何の結果もなく
誰の責任でもなく
ただ生物学的に
社会や世界や論理とも関わらず
鉛のように死を迎えたい
私は鬼になろうと思う
表向きは人当たりが良くとも
内側は激しい形相をした強靭な魔的存在
不良など生ぬるかった
たかだか人間に過ぎなかった
今度私は鬼として生きて行く
煮えたぎる意志に貫かれて
こういった実存の危機に
孤独な私は言葉にしかすがれなかった
そしてすがった言葉にも見事に裏切られた
それが私と詩との出会いであり
私はそれを期せずして反復した
詩というものは
天使のような寛容な笑みを浮かべながら
悪魔のように冷酷に裏切る
双頭の蛇の一変種
戻る 編 削 Point(5)