降る日 昏礼/
木立 悟
空に文字が浮かび
読もうとすれば消えてゆく
遠く遠く 呼ぶ声は
やがて歌になってゆく
誰もいない劇場が
少しずつ少しずつ水没する頃
海へ向かうまぶしさは
鈴と小さな手に飾られて
嫁ぐように暮れに染まる
空をめくると
絵の履歴ばかり
かさかさとかさかさと昏くなり
同時に波になりながら
手のひらのくぼみを
羽の付け根を震わせてゆく
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