降る日  昏礼/木立 悟
 





森が 畏れ
見つめる先
水に映る空が
巨大な骨に震える


暮れの原へ向かう径
何処から来るのか分からぬまぶしさ
何処からが原なのか
何処までが径なのか
分からぬまぶしさ


土の下に街は無く
鉄汁を運ぶ鉄腔だけが
ごうごうとごうごうと脈うちながら
わずかな光をはじいている


複数の時間が流れている
光が光を照らしている
名を呼ばれては消える
淡く遠い暮れの影たち


赤灰と赤銅のはざまから
斜線と秘名は降りそそぎ
土にも曇にも触れることなく
染めては染まり
巡り 巡る


坂の上で
子らが何かを呼んでいる

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