ものさし/夏美かをる
 
自然にできたグループに分かれて
植民地時代のボストンの街並みを色画用紙で再現している
春陽に包まれた5年生の教室

その穏やかな空間に一瞬そよ風が吹いて
支援クラスに行っていた娘がひらりと入って来る
だけど誰にも気づかれない
先生は出来上がった建物を順に壁に貼っていく作業で忙しい
生徒達もそれぞれの作業で忙しい
こちらのグループ、あちらのグループ
そちらのグループ、向こうのグループ
娘は次々に覗きに行っている
でも誰からも声を掛けられない

私はボランティアで算数の宿題の丸付けをしているが
視界の隅で娘にうろちょろ、うろちょろされては
赤ペンがちっとも進まない

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