六月/乱太郎
 
やまない衝動は高鳴り
ついに確かな手応えとともに
僕の最後の理性を
僕は自ら絶とうとしている

溶けて
ゆく

のを感じはじめた
記憶はもはや抵抗をしていない
空が紐で繋いだ

のにおいがまるで海原の潮風のように
僕を包み僕を抱き僕を抱え

帰ってゆくようだ

そうだ

帰ってゆくのだ
僕は既にいなかったのだ
ここには

やっと気がつくことができて安堵すると
僕の手にはシャベル
この、六月に僕は自分のための墓を掘りはじめた

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