△/栗山透
△を想像するとき
私はいつも驚いてしまう
声を
憶えている
今でも鮮明に聴こえてくる
言葉や吐息のひとつひとつが
身体に馴染んでいる
足がすくむほど
愛しいと思うときがある
近ごろ
△はよく笑う
どんな風に笑えばいいか
コツをつかんだらしい
綺麗な形をした膝と
日焼けした肌を持っている
熱
横顔
匂い
"雨に濡れないように
傘が無ければ
屋根の下にいればいい
ずっと続いていくのだから
雨が止まないのならば
ここにいればいい"
驚いてしまう
こんなにも安心してる
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