結末泥棒/
桜 葉一
全国の書店の全書籍から
結末だけが盗まれた
物語が佳境を迎える直前
そこから最後までの頁がすべて盗まれていた
ある物語は、主人公の恋が結末を迎える手前で
ある物語は、少年少女の夢が叶うか叶わないかの瀬戸際で
その犯行の手口は
数か月経っても解明されることなく
事件は迷宮入りを迎えようとしていた
そんな折
犯人が自首してきた
取り調べの際
犯行の手口を聞かれた犯人は
薄笑いを浮かべながら言った
「そんなの簡単ですよ。
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