恢 復/塔野夏子
 
手をとりあって
いちばん深い風の吹く場所へ行こう

其処には音楽のような樹と
祈りのような泉がある

手をとりあったまま
いちばん深い風に浄らかに吹かれて
たたずんでいればいい

其処で交わされるものが
言葉であっても沈黙であっても
それは静かないとおしさに包まれているだろう

遠くに記憶たちの列が
歩いてゆくのが見えるかもしれない

そうして其処で時を過ごしていると
やがて私たちの頭上におとずれるひとつの星座(コンステレーション)




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