うるさい静寂/あおば
 
                          150618


どこか静かなところでと誘われたのがとあるマンションの一室
確かに壁は厚く、窓は二重窓、衣擦れの音も煩いほどなのだ。
時は、梅雨寒の季節、エアコンは殆ど役に立たない。時代物の
除湿機がぶんぶん唸っている。彼を止めたら、じとじとする湿気が
部屋中を覆い、静かだけど、肌寒く、古傷や背中が痛くなる。
痛みの増幅は困り者
さっぱりした五月の空気を作り出す時代物の除湿機
煩いのが困りものではありますが、彼が居なくなったら
この部屋は地獄の一丁目となります
彼のおかげで私たちは仲が保てるのです
彼女のすっきりした顔が
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