『聖母ジェンマ』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
?おれは頭はいいが狩りは苦手なんだ?
ジェンマは呟いた
?誰にだって得手不得手があるってもんさ?
同じ年に生まれた若い狐たちからは
「下手くそジャンマ」
「まだ一度もうさぎを捕まえたことがないんだって」
「狐の恥さらし」
いつもからかわれていた
そう ジェンマは真性の狩り下手なのだ
?ああぁ腹がへった……?
二日前に蛙を食べたきり あとは水ばかり飲んでいる
?どっかに足を折ったうさぎでもいればいいのに……?
木陰に入りぺたりと伏す
風がそよそよ毛並を撫ぜて行く
すぐに瞼が重くなる 疲れ切っているのだ
――夢の入り口辺り
どこかで 声がする
鳥…
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