冬のおわり苺を摘みに/田代深子
 
今日だけの花 さわぎの水のふりかけて かじり抱きして朝にしおらす


しょうちのうえで怒らせて 悪気もありで涙なら さじもなげる身もなげる 君


泥となり眠る あまい泥なら手でつかみ 掘りてなお足りぬいくらでも沈む


割れたれば朱 裂きたれば黒 指先にしたたりて横一閃 冬柘榴


落ちる影 横切る影よ 窓のむこう あけはなっても寒の空 ほら


泣き明けて瓶も空きたる酔い焼けの 細月や眉根に残したる痕


高鳴りて売笑婦 日々の糧なるエロスたれ そもさんせっぱのかけひきもあり


耳そぎの 鼻そぎの罰 瞼そぎ爪もそぎして禊ぎなするか


あかあかと 火照る苺の歯にしみて 見まいと見つつ 君が背の広


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