傷を編む/ホロウ・シカエルボク
いてもおかしくなかったのかもしれない、と―べつに事故に限った話ではない、心臓が止まる瞬間はきっとすべてが突然なのだ―たとえばそれが長く患った後に来る緩慢な死であったとしても…なにを見ようとしているのか?おれ自身にももしかしたらそのことははっきりとは判っていないのかもしれない、だけど「なぜ」なのかなんて馬鹿げた疑問符でしかない、そこにどんな理由をつけることが出来たとしても、起こる現実にはきっと関係がないとしたものだ
眠るとき、目覚めるとき、あるいは生活の中でほんの少し、いびつな感情のポケットに落ち込む瞬間、おれは自分の死のことを思う、興味のようにそれはいつもそこに在る、いまの隅かはすこし変
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