その先は無くてもいい/noman
いく筋かの細い雲が頭上を
走っていた
左側は昼で
右側は夜で
右側に扉があった
開けた途端
音も無く壁は崩れ
かつては覚えていた季節の
断片が
足元に転がって
いた
誰がどこで追いつくのか
みんな見ている
ほんの少しの間
眺めていれば
うんざりして
飽きがくるのだ
初めから呼ばれることの
ない名前
ただ読み上げられるだけの日時
磨りガラスの向こう側に刻まれた
あいまいな金額
冷たくなった四肢を引きずる生物の
ように
地表近くを 重そうな風が滑って
いった
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