雨音の詩/栗山透
た。どうやら雨音は一種類ではなく"ぱたぱた"とか"ぴちょん"とか色んな音が混じっているようだ。そうか。雨が落ちた先に何が在るかにもよるし、僕がいる場所からの距離が変われば音の響きも変わる。そもそも擬音ひとつで雨を表現すること自体が無理な話だったのだ。それでも、いちばん多く聴こえてくる音は"タタタタ"なような気がするが、そんな擬音は今まで聞いたことがない。
「ねぇ」僕は言った。
「"タタタタ"って聴こえない?」
女は僕を見ている。
「何の話?」
「雨だよ!雨の擬音"タタタタ"っていう
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