愛歌? <ぼくたちが生まれでなかった ずっと遠い昔から>/南無一
 

忘れかけた 遠い思い出は
もう すっかり 忘れよう
かすれてしまった 幼な子の 夢のように
もう そろそろ
砂に 埋めて しまおう

かなしみの色に 染まった
遠くかすんだ あこがれの風景
なんて
もう ほしくないから

はじめて 飛びたとうとする
若鳥たちのように
海原に 向かって
羽ばたこう
わずかばかりの よそよそしさと
すこしばかりの 胸の高鳴りと
ちょっぴりの 幸福と
つつみ込まれていた
あの出逢いから・・・

ぼくたちが生まれでなかった
ずっと遠い昔から
ふたつの生命が 出遭おうとしていた
そんなふうに 伝説化してしまえば
ぼくの 我侭な心も
きっと
やさしさに 充ちるだろう


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