夜更けの紙相撲・6月4日むしば予防ディ/そらの珊瑚
 
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あの人、クレーマーだと、先生にかげで言われようと、私は自分の思ったことを学校へ伝えたかったのだが、そうすることで先生が息子へ悪い感情を持ってしまうのではないかとか危惧して、止めた。あとで手紙を出そうか、とも思ったが、ペンを取る気持ちが萎えた。そんなことしても、ただの自己満足じゃないか、と。もしかしたら、こういうのが正真正銘のクレーマーじゃないのか、と、思考はぐるぐる回りだした。
冷静になって考えたら、そんなことが出来るほど、私は元気でなかったのだ。学校行事に参加するのも、不安だった。学校までの長い階段を歩くのも、笑顔で人と話すのも、本音を言ったら外へ出るのさえ、やっとだったのだから。
今、考えてみれば、あれは社会へ復帰するための、リハビリみたいなものだったのかもしれない。

歯はどの歯だって大切だけど、奥歯はことさら大切だなあって思う。出来ることなら、これから嬉しいことを目いっぱいかみしめさせてあげたい。せっかく私の口の一番奥に歯として生まれてきてくれたのだから。
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