写真/
為平 澪
地がいいようにと
黙って家を片付け掃除をして 帰らない子供たちを待つ父
うすっぺらい写真に貼り付いたまま、家のことなど
饒舌に語ってみせる
( どうだい、お前の四十年住んだ我が家の居心地は
左手のピースの指は二本
息子は家を出て行って 娘は家に帰らない
それでも立て続ける指二本、
育てた二つの平和は誇り
家を護る父の顔
仏様になってゆく父の顔
どんなに泣いても笑っても
見守っているよ、と父の顔
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