風と共に念ず/ただのみきや
 
――風よ 

木の葉をさざめかせ
やさしく掻き乱し

花房にそっと触れ
散り際へと誘う

子猫の背を撫でるよう
湖の面を煌めき立たせ 

風 おお風よ!

おまえが気まぐれに吹き上げた
「それ」は今 帆のように孕み――

ああ私は念じる 力の限り
今や私とおまえは一心同体

風よ もっと吹け 吹き上げろ!
負けるな 風よ あとひと息!


  
        《風と共に念ず:2015年5月30日》





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