一太刀の幕明け/朝焼彩茜色
禁色を懐に纏い透明なさらさらとした波打ち際
便りも海風の知らせもない 天に祈る日々に満ち潮が止まり
息が出来ない
慕い人は振り向かずに 船を陸に進ませた
瞳が朱に滲む
一太刀の幕明け 透明な波打つ囲まれた城に 間合いが狭く沈んでゆく
何れやってくる愚か者たちへの一太刀
斬っても斬れない剣が望みの城に 斬らねばならぬ時代をいっそう斬りたい
禁色など要らない透明な世に真剣が泣きながら舞う 瀬戸際
慕い人は命をどこか遠くへ結んだと 波の手が泡と共にそう云った
鎧を脱いだ弱み 斬れないものは斬れない信念のもと
亡骸はどうか船に乗せ あの人の踏んだあの陸に流して下さい
一太刀の幕明け
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