愛歌序章・冬<雪降る夜>/南無一
雪降る夜を
ひとりぼっちで 歩いていると
白い狼が やって来て
きみの心を
咥えていって しまうでしょう
雪降る夜には
ひとりぼっちで 歩いていては いけません
雪降る夜には
一緒に 歩いていって あげましょう
もしも 白い狼が やって来て
きみの心を
盗んでいこうとしたのなら
雪つぶてを 投げつけて
追い払って あげましょう
雪降る夜には
ひとりぼっちで 歩いていては いけません
雪降る夜には
傍についていて あげましょう
指が かじかんで しまったら
息をかけて あげましょう
頬が 冷たくなったなら
両手で 包んで あげましょう
雪が 降りしきる
凍えてしましそうな
そんな さびしい夜には
そうして あげたいのです
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