愛歌序章・秋<花の名は>/南無一
わたしの好きな お花は
ね
フリージア
と
すこし 顔を
あげて
得意気に
あなたは いった
ふりーじあ?
ぼくは
そのふしぎな 花の名を
知らなかった
あなたの好きな
お花は
なあに?
瞳を
かがやかせて
幼な子のように
あなたは 問うた
ぼくは 戸惑った
好きな花のことなど
これまで 考えたことが なかった
コスモス と
ぼくは 慌てて 答えた
すこし 首を
傾げて
あなたは
明るく
微笑んだ
眩しいばかりの
秋の
空が
あなたのうえに
あった
戻る 編 削 Point(1)