パーマネント ラビリンス/そらの珊瑚
 
四方に充満した水の粒子が
わたしの髪の毛を
ちぢれさせてゆく
梅雨に不機嫌になるのは
そんな他愛のない理由だった

透明な傘を持ち
すれ違う人が
生真面目な歩幅で
人を殺す理由
人を殺さない理由
理由、理由を探しあぐねている

おおげさな理由ほど
ひとときの
なぐさめにはなるけれど
ほんとうの理由は
また別に
ひょいと曲がった辻にあったりする

橋を渡り終えても
足先が詩にふれるたび
そこから
亜流の水が流れ始めるから
また橋が作られて
おそらく終わることがない


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