獏/
……とある蛙
夜
良い夢を見ようと
集中していたら眠れなくなった
仕方がないので
起きようとしたが
眼が裏返っていて
何も世間が見えない
暗転した中、手探りで
部屋の灯りのスィッチを
辿っていたら
何か夢のような感触の
粘菌が部屋の壁に
こびりついていた
人のいる気配と
動物のいる気配
何やら動物の気配がすることが
可笑しくて
手を口に当てて笑った
はっはっと
その笑いしなに裏返っていた眼が
ひょいっと元に戻った。
驚いたことに
目の前に貘がいた。
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