疋田龍乃介詩集『歯車VS丙午』について/葉leaf
力性とは次元を異にする。だが、詩の暴力とは意志や創造力で人間を解放する力であり、ただ言葉の表面的な次元での暴力とは異なるのだ。
私は疋田の詩からより根源的な暴力を読み取ることができると考える。そのために取るべき手順としては、疋田の詩の際限のない細部をモナド論的に分解し、くまなく経廻り、遡及的に根源を仮定し、その根源の表現を細部に見出すという解釈手段が考えられる。根源は実在しないが、細部において表現される。その表現から根源へと遡及するのである。
生まれるまえ(鼻や耳のぶつ切りに混じって斬首台の隙間を覗いて(その半分くらいの小さな歯車のまわる(首の切れ間は暖簾の狭間(覗かば揺れ続ける店の軒先
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