疋田龍乃介詩集『歯車VS丙午』について/葉leaf
すよ、
湿った櫛の隙間を嗅がされても!
今なおこぼれる露も!
むせぶ嗚咽も!
(「剥がし剥がされ燈るのさ」)
さて、この引用部を見てみよう。「摩訶ざわざら」という造語の作り方と響きの暴力性、「ざわざらざっわーん」という意味不明な擬態語の暴力性、「絶つ」という言葉の暴力性、「むせぶ嗚咽も!」における単語と感嘆符による暴力性、更には全体の構文の混沌的な暴力性、など、表面的には見て取ることができる。だが、それはせいぜい言葉の意味が暴力的だったり、言葉のつくりが暴力的だったり、構文が規範侵犯的だったり、それだけのことであって、上述したような意志や創造力のレベルでの暴力性
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