恐怖と悲しみ/なをり
秋の公園に朝がきて
木漏れに異常なほど光さす
鈍い振り子の風が落ち葉を巻き上げる
はじめてきづいたのだけど
公園にはたくさんの人がいる
手をつないで目を細めている
でもなぜ?
巨木たちは人々よりもあまりに大きい
橙と紫の蝶のつがいが地面を交尾で覆わんとして
僕はそれを踏まないように跳ね回り絶叫する
やがて蝶のつがいは交尾の姿勢のままいっせいに飛び立つ
僕は変な英字がプリントされたダサいパーカーのフードをかぶるが
それは僕には小さすぎた
母が僕から蝶を払いのける
僕は母親を見つけてからいっそう絶叫を強めたのかもしれない
はじめてきづいたのだけど
公園にはたくさんの人が
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