誰も知らない日/番田
私は風邪で寝込んでいた
友達の誰もいない街で
言葉を無くした
フトンの上で
あまり眠れるというわけでもないまま
何かを感じていた
しばらくして起き上がると
イスに座って
窓からの風に吹かれていた
そうして また 寝た
体温を測るとまだ高かった
窓の外は 晴れていて
今頃 渋谷はにぎわっている
気が触れたような顔のカップルや
走り回る子どもたちに
苦悩を抱え ギターを弾く若者の姿は
もう古いのかも知れないな
そんなことを考えていると
私は 眠っていた
時差ぼけを抱えて 眠った
そして イギリスのホテルの部屋で
走り回るタクシーの夢を見ていた
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