回帰する夢/成澤 和樹
 
煙草の煙で描いていた
ジェット機の音に掻き消される夢

安アパートのベランダ
眩しい太陽 確かに感じる光の温度
眼を細める

真っ青な空 コンクリート造りの白い建物
陰鬱にさせる
あからさまなコントラスト

回帰する夢 美しい不条理に囁かれ
白昼夢から醒めてゆく

何故こうも人は夢を実現させたがるのか
夢は夢である方が相応しいのに

はっきりとしながらも複雑な世界
遠く消えていくジェット機の音
玉響な煙が
ゆらゆらと追いかけていった
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