流るる水/猫の耳
水の流るる音を聴きながら
目を閉じると
深い山奥へと魂が運ばれる
まだ誰も見た事がない
苔に覆われた岩々が
小さな水滴を生み出す
どんな物語もかなわない
始まりの世界
これから何が起こるのか
最後にどこへ行くのか
誰にもわからない
少しずつ流るる水になっていく
私の魂も水に乗せられ運ばれて
何処へとも
何処へとも
行ければいいのに
不自由に囲まれた魂は
目を開ければ、
自分の身体に戻ってきてしまう
ふうっと息を吐く
もしかすると
魂は水滴よりもずっと自由で
何処へでも
何処へでも
望むところへと
行けるのかもしれない
その方法を、
私は百年後にきっと知るだろう
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