長くも短くもなく終わりも始まりもまた/ただのみきや
 
たとえばある種の硝子を隔てて
見つめても そこには世の冷たい写しと
見飽きた己の顏しか見いだせないのだが
硝子の向こう 不可知な領域からは
こちらの姿が逐一観察できるように

ひと筋の時の流れに生きて逝く魚の如き人間が
仰いでも決して覗き見れない永遠とは
乾いた言葉であり概念
過敏な鼻には悪宗を放ち
口に含むと何処か哲臭いのだが

永遠からこちら側を見れば
時の始めから終わりまで全ての物事出来事が
目の前にある一つの花壇や菜園のよう
手を伸ばせばすぐに届く場所に在る

《時とは永遠の内に生じたひとつの小さな発火現象で
その始めから終わりまで全てが永遠の中に包み込
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