女子高生と人魚/愛心
と
控えめな美しい字で ルーズリーフに綴った
声が出ないことは悲しくない
声が出ないことは当たり前だから
でも
この当たり前を 誰も認めてくれない
耳が聞こえるのに話せないのは 異様に映るみたい
でも良いの
私はこれが私だから
その瞬間だったと思う
笑みをたたえ 静かに目を伏せた彼女に
私は恋をした
それからの私は 自分でも気持ち悪いくらい彼女の傍にいた
友達になりたい なんて嘘をついて
彼女のことを知ろうとした
彼女の綴る言葉を 噛み締めるように毎日読んだ
絵本になっているような 昔ばなしが好きなことを知った
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