嫌いになってよ/ユッカ
 
屋上の鍵を開けてほしい。
それはどこでもよくって、たとえば学校、病院、あるいは都会、夜の空。
どこでもいいから、逃がしてほしかった。
青春とか、出来合いの言葉でなぐさめないで、あなたの情熱で、思いきり突き落としてほしかった。

やさしくされたいと思わないこともないけれど、
「やさしくする」ということの意味を、
生まれてから一度も自分で考えたことのない人に愛されてもただの被害、迷惑だから、
それならいっそのこと、思いきり深く傷つけられたいのだった。
しらじらしいことばかり言われると傷つく。想像するから。

会うと詩を書きたくなるような人がいて、
どうしてその人に会わずに今日を生きているのだろうかとつぶれそうになる。
星にも月にも手がとどかない。光にも風にもなれない。わたしをあなたは嫌いになってよ。
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