ロクデナシ/為平 澪
 
はっきりさせてやろうじゃないかという気さえおこってくる。
 ある日僕は鶴町に冗談で
「お前、自分のこと一番エライなんて言ってるけど、そのエライお前が尊敬している人って誰なんだよ。」
と聞くと鶴町は
「きまってるじゃん。両親だよ。」
と、笑って即答した。その答えは、僕をイライラさせるのに十分だった。

 その日、家に帰ると母が泣いていた。パートで働いた金を父がパチンコに使ってしまったらしい。母さんは泣いて僕にすがってきた。
「泉、父さんに何とか言ってあげて!!母さんの生活の為にこんなに頑張っているのに、父さん分かってくれないの!」
 女の細腕に、こんな力がどこからく
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