ロクデナシ/為平 澪
 
価値というものが、人に認められること、母さんに誉められること、その賞讃の言葉全てが僕の存在理由となった。
 十六歳の少年が、王者の夢を抱くことはたやすかった。

 クラス替えで、鶴町と出会った。僕が初めて興味を持った人間だった。学力が優れているわけでもなく、かといって容姿がいいわけでもない。どちらかといえば、落ちこぼれという部類の人間に入るが、彼はひょうきんで
�一番、尊くえらいのは自分だ!�
なんて笑いながら大声で言うものだから、僕はそのバカバカしさに笑いが止まらなかった。
 彼の人間的羨望の眼差しを自分に向けたい。本当にえらいのが誰なのか、はっ
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