から/楽歌
HelloとBonjourの狭間で
君が、
さよならを置くべき場所に惑っていたから
僕は、
蛹のままで居続けることは
酷く怠慢ではないのだろうかと憤り始めた
蜘蛛は羽を欲しがり
蝶はそれを与えることも
「吝かではない。」
と、絡め捕られたまま呟いた
「悟りだ。」と誰かが頷き
「傲慢だ。」と誰かが憤慨し
「諦めだ。」と誰かが泣いた、その後で
「ただの強がり。」と糸が震えた
背中が割れていく音に僕は少しのあいだだけ、
目前に迫る憂鬱さに埋もれそうになる
「ここに隠したらいいよ」
とだけ、君に伝えようとする
羽の皺を伸ばすように
僕は背伸びをする
「ここに、ここに隠したらいいよ。」
とだけ、君に伝えようとする
戻る 編 削 Point(1)