から/楽歌
 
HelloとBonjourの狭間で

君が、

さよならを置くべき場所に惑っていたから

僕は、

蛹のままで居続けることは
酷く怠慢ではないのだろうかと憤り始めた


蜘蛛は羽を欲しがり
蝶はそれを与えることも
「吝かではない。」
と、絡め捕られたまま呟いた

「悟りだ。」と誰かが頷き
「傲慢だ。」と誰かが憤慨し
「諦めだ。」と誰かが泣いた、その後で

「ただの強がり。」と糸が震えた


背中が割れていく音に僕は少しのあいだだけ、
目前に迫る憂鬱さに埋もれそうになる


「ここに隠したらいいよ」
とだけ、君に伝えようとする

羽の皺を伸ばすように

僕は背伸びをする

「ここに、ここに隠したらいいよ。」

とだけ、君に伝えようとする

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