こぼれ はじまる/木立 悟
 





気付くと宙に
まばゆく浮かぶ
私の組織
私ではないうた
すぐに終わる
終わらないうた


空をゆくもの
空はおるもの
空をゆく空
空おりる空


とどまらないもの
こぼれるもの
やがて集まり あふれるもの
私のそばを流れる私が
私を遠くへ置き去りにする


空を分ける横顔が
虹と白に照らされている
透明は透明に澱み重なり
少しずつ正面を向く顔を
小さく小さく分けてゆく


曇のなかを
陽は花にこぼれ
径にこぼれ
私に撥ねる
浮くように遅い
歩みにかかる


瀧に
色めきたつ水面
何を
欲しているのか
高さなのか
赦しなのか


崩せば白
飛沫 欠片
まばゆくはじまる
曖昧な飛礫
私のつづき


白を千切る手
響きに染まり
人ではないものたちの斉唱
こがねの波に打ち寄せる





















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