身体/佐藤伊織
 


死は結合された身体を
とく作業である
ほぐれていく身体はやがて二つにわかれ
それぞれ無のなかを漂う


互いが持っていた糸電話の
コップの裏に描かれていた顔は
ふたたびそれぞれのものになる


死は無である
顔のなかったその身体が
対内に持っていた糸が
ほぐれていく身体の対のあいだで
まさに
消えようとしているのに


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